農業所得・農家の確定申告ガイド。稲穂の実る田園と山並み、麦わら帽子と収穫物の木箱、開いた帳簿を描いたイラスト

全国 47 都道府県 対応

農業所得・農家の確定申告ガイド 収穫基準・家事消費・経費・青色申告・税理士の探し方

米作・果樹・野菜・畜産など、農業所得(農家)の確定申告を、全国47都道府県別に解説します。農業所得が事業所得になる仕組み、収支内訳書(農業所得用)、収穫した農産物の家事消費や補助金の扱い、肥料・農薬・農機具の減価償却などの経費、青色申告や事業専従者控除、税理士の探し方から自分で申告する方法まで。あなたの納税地の都道府県ページで、地域の税理士数や管轄税務署とあわせて確認できます。

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職業別コラム

農業所得(農家)の確定申告——収穫基準・家事消費・経費のポイント

農業所得は「事業所得」——収支内訳書(農業所得用)で申告

米作・果樹・野菜・畜産など、農業で得た所得は事業所得で、「総収入金額-必要経費」で計算します。申告の際は、白色申告なら専用様式の「収支内訳書(農業所得用)」、青色申告なら「青色申告決算書(農業所得用)」を使います。農業には、収穫した農産物の扱いや、肥料・農薬・農機具といった農業ならではの収入・経費の項目があり、一般の事業とは様式も考え方も少し異なります。会社に勤めながら兼業農家として営む方は、給与・退職以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です(いわゆる20万円ルール)。白色申告の方も、記帳と帳簿書類の保存が必要です。農業所得は、国民健康保険料や各種制度の算定基準にもなるため、規模の大小にかかわらず正しく申告しておくことが大切です。

出典・一次情報:国税庁 タックスアンサー No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)国税庁 収支内訳書(農業所得用)の書き方(令和6年分)

農業ならではの収入——「収穫基準」と棚卸・家事消費のしくみ

農業の収入は、販売金額(売った分)に、家事消費(自分や家族で食べた分)、事業消費(種・飼料・雇人への現物支給などに使った分)、雑収入(受取共済金・課税対象の補助金など)を加え、期首棚卸高(前年から繰り越した在庫)を差し引き、期末棚卸高(売れ残って翌年へ繰り越す在庫)を加えて計算します。ポイントは、売っていない家事消費・事業消費の分や、年末の在庫(期末棚卸高)も、「収穫時の生産者販売価額(庭先価額)」で見積もってその年の収入に計上することです——これが収穫基準です(米・麦・野菜・果物・園芸作物など政令で定める作物が対象で、肉・卵・乳などの畜産物は対象外)。生産者販売価額は原則で、収穫年次ごとの平均額などの簡便計算も認められます。年末の在庫を収入に計上しても、翌年はそれが期首棚卸高として差し引かれるため、実際に売れたときに二重課税されることはありません。なお、事業消費は同額が種苗費・飼料費・雇人費などの経費にもなるため所得への影響はゼロで、実質的に収入として残るのは家事消費だけです。対象外の畜産物や仕入れた商品を家事消費した場合は、通常の販売価額で計上し、取得価額または通常販売価額の70%のいずれか高い方まで引き下げる特例(所得税基本通達39-2)が使えます。

出典・一次情報:国税庁 収支内訳書(農業所得用)の書き方(令和6年分)国税庁 タックスアンサー No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)国税庁 農業を営む者の取引に関する記載事項等の特例について(法令解釈通達)国税庁 所得税基本通達 39-1・39-2(たな卸資産等の家事消費の場合の総収入金額算入)

農業の必要経費——肥料・農薬から農機具の減価償却まで

農業の経費は種類が多いのが特徴です。種苗費、肥料費、農薬衛生費、飼料費、素畜費(子牛・ひな等)、諸材料費(ビニール・なわ等)、動力光熱費(燃料・電気・水道)、修繕費、荷造運賃手数料、雇人費、農業共済掛金、土地改良費、作業用衣料費(作業衣・地下たび)などが代表的です。肥料・農薬・燃料のように使い切るものはその年の経費に、自給した種もみや飼料を使った分は収穫時の価額で経費に計上します。農業用の建物と住宅が一体の費用や、水道・電気のうち家事で使う分は、使用面積などで按分して家事分を除きます。

トラクター・コンバインなどの農機具や農業用の建物、繁殖用の牛馬のように長く使うものは、買った年に全額ではなく、取得価額を法定耐用年数で分けて各年の経費(減価償却費)にします。所得税では原則定額法で計算し、農業用設備の耐用年数は7年です。ただし全額を経費にできる場合もあり、判断は取得価額しだい——10万円未満なら使った年に全額、10万円以上20万円未満なら3年で均等にする一括償却が選べ、青色申告なら一定額未満まで全額にできる少額減価償却資産の特例(年間合計300万円まで)もあります。中古で買ったものは、使用できる年数を見積もった短い年数で償却できるため、新品より早く経費にできます。

出典・一次情報:国税庁 収支内訳書(農業所得用)の書き方(令和6年分)国税庁 タックスアンサー No.2100 減価償却のあらまし国税庁 タックスアンサー No.5404 中古資産の耐用年数国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識

青色申告・事業専従者・消費税の実務

日々の取引を帳簿に付けて青色申告をすれば、青色申告特別控除(複式簿記などの要件で最高55万円、電子帳簿保存またはe-Taxで65万円)や、家族への青色事業専従者給与などの特典が使えます。なお令和8年度税制改正により、令和9年分以後は、e-Tax等の要件で65万円、優良な電子帳簿の要件でさらに75万円へ引き上げられます。白色申告でも、生計を一にする15歳以上の親族が6か月を超えて専ら農業に従事していれば、事業専従者控除(配偶者は最高86万円、その他の親族は最高50万円が上限で、実際はこの上限と所得を按分した額との低い方)を受けられます。消費税は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下なら原則免税ですが、インボイス発行事業者に登録すると課税事業者になります。減価償却や補助金の判断など、農業の申告に詳しい税理士に相談すると安心です。

出典・一次情報:国税庁 タックスアンサー No.2072 青色申告特別控除国税庁 タックスアンサー No.6501 納税義務の免除(免税事業者)財務省 令和8年度税制改正の大綱(令和7年12月26日閣議決定・一4(3))

農業・農家の経費になりやすい支出の例

経費項目ポイント
種苗費種もみ・苗・種いもの購入費。自給分は収穫した時の価額で計上。
肥料費・農薬衛生費肥料の購入費、農薬の購入費や共同防除費。
飼料費・素畜費飼料の購入費、子牛・子豚・ひな等の取得費や種付料。
農機具・建物の減価償却費トラクター等の農機具・農業用建物・繁殖用の牛馬。扱いは取得価額しだい——10万円未満は使用時に全額、20万円未満は一括償却(3年)、青色は少額減価償却資産の特例で一定額未満まで全額。これらを超えるものは耐用年数(農業用設備7年・原則定額法)で分割し、中古は短い年数で償却できる。
動力光熱費灯油・ガソリン等の燃料費、電気料、水道料など(家事分は按分で除く)。
農業共済掛金水稲・果樹・家畜などに係る農業共済の掛金。
雇人費・諸材料費・作業用衣料費常雇・臨時雇の労賃、ビニール・なわ等の材料費、作業衣・地下たびなど。
税理士報酬確定申告や記帳を税理士へ依頼する費用。収穫基準・減価償却の相談も。

※経費該当性は業態・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

探し方総論

農業・農家の税理士の探し方・自分で申告する方法

確定申告の進め方は、大きく「税理士に依頼する」「自分で申告する」の 2 通りです。 依頼するなら無料紹介やスポット比較、自分でやるなら会計ソフトが現実的な選択肢になります。 お住まいの都道府県ページでは、これらに加えて Google マップでの探し方・管轄税務署の一覧も併せて案内しています。

全国の農業・農家が確定申告を相談できる税理士を無料で紹介してもらう — 税理士ドットコム トップページのスクリーンショット

推奨

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都道府県別ガイド

都道府県別 農業・農家の確定申告ガイド

お住まい(納税地)の都道府県を選んでください。県内の税理士数・管轄税務署の一覧つきで、 農業・農家向けの確定申告情報を県別に案内します。

北海道

東北

関東

中部

近畿

中国

四国

九州・沖縄

Q&A

農業・農家の確定申告 よくある質問

Q. 自分の家で食べた作物も収入になりますか?
A. なります。農業の収入は、販売金額に、家事消費(自分や家族で食べた分)や事業消費(種・飼料などに使った分)、雑収入を加え、期首棚卸高を差し引き期末棚卸高を加えて計算します。売っていない家事消費・事業消費の分や年末の在庫は、収穫時の生産者販売価額で見積もって収入に計上します(収穫基準)。年末の在庫は翌年に期首棚卸高として差し引かれるので二重にはなりません。事業消費は同額が経費にもなるため所得は増えず、実質的な収入は家事消費だけです。
Q. 補助金や共済金は申告が必要ですか?
A. 課税対象の補助金・交付金や、受取共済金、出荷奨励金、価格差補塡金、農作業受託料などは、雑収入として総収入金額に計上します。国や自治体からの助成金は、課税対象かどうかを確認したうえで申告に含めます。作物や家畜などに係る受取共済金も、雑収入として計上します。
Q. トラクターは買った年に全額経費にできますか?
A. 買った年に全額経費にできるかは、値段(取得価額)で決まります。取得価額が10万円未満なら、その年に全額を経費にできます。青色申告なら、少額減価償却資産の特例で一定額未満まで全額にできる制度もあります(年間合計300万円まで)。新品の大型トラクターは高額なことが多く、その場合は農業用設備として法定耐用年数7年で減価償却します。一方、中古の小型機など安く買えたものは、これらの少額の制度で全額経費にできることもあります。中古品は耐用年数を短く見積もれるため、新品より早く償却できます。
Q. 農家も青色申告した方がいいですか?
A. 帳簿を付けて青色申告をすれば、最高65万円(令和9年分以後は最大75万円)の青色申告特別控除や、家族への専従者給与が使えて有利です。白色申告でも、要件を満たせば事業専従者控除(配偶者は最高86万円等)を受けられます。